あの日見た、虎の檻で

倒産する出版社に就職する方法・連載第23回

 

2018年8月14日。

今、私の手元には、法生(ほう)こと長澤美穂氏が描いたB4画用紙6枚分の原画があります。

一枚、二枚、三枚……。たしかに6枚です。

9月刊行予定の『買いものは投票なんだ』はB5判・40ページの本。B4画用紙一枚が本の2ページに相当するので原画は20枚必要です。

電卓を叩いて、20-6=14。

あと原画が14枚必要になる計算ですね。

チャンス、到来

倒産する出版社に就職する方法・連載第22回

 

積年の事情を踏まえ、フォレスト出版から送られてきた9月新刊のISBN書籍記号を見て、私は震えたわけです。

500、600、700を無理矢理に獲得した三五館時代。

そして今、環境の激変によりISBN書籍記号を選ぶ余地もなくなった私に向こうからやってきた奇跡。

消息不明だったかつての友人が、唐突にふらりと新しい事務所を訪ねてくれたような。

「やあ、しばらくじゃないか。どうしてた……」

「おお、お前か! どうしたもこうしたもねえよ。三五館潰れちまった。で、今は見てのとおり独りきりだ。でも、まだあきらめたわけじゃねえぞ」

会えると思ってもいなかったし、じつはそんなこともうとっくに忘れてしまっていたのに。向こうから、突然に。

――これが吉兆でないはずがないのです。

ある画家の悲劇

倒産する出版社に就職する方法・連載第21回

 

中国の梁(502~557)に張僧繇(ちょうそうよう)という画家がいたそうなんです。

この張さん、絵画の技術が飛びぬけていて超うまい。

それに目をつけた梁の武帝は彼に、寺の壁に4匹の竜を描くよう命じたんです。

たぶん「スプレーアートみたいなので寺の壁に落書きされたらかなわん。超うまい竜のイラスト描いておけば、よもやそこに上書きしてスプレーアートで描きはしまい」とか考えたんでしょう。鳥居のマーク描いておけば立小便防げる、みたいなトンチの防御法ですよ。側近も「さすがですね」「その手がありましたか!」っつって。武帝のまわりなんて基本イエスマンばっかですから。