電話番号が変わりました。

倒産する出版社に就職する方法・第59回

 

 

「電話番号が変わりました」

って、ふつうの事務連絡っぽいじゃないですか。

本来、ホームページのトップでやっていいことじゃないですか。

ホームページで、「新刊情報」の更新は去年の7月以降ずっと怠り、何かに取り憑かれたようにこの連載記事だけを58回にもわたって更新しつづけるという異常行動よりも理解しやすいことだと思うんですよ。

でも、設立からわずか1年半のうちに電話番号を変更せざるを得なくなったのにはそれなりの理由がありまして。この場を借りて、それをみなさんに訴えたいのです。

 

2017年に会社を作って電話を引こうとしたのですが、調べてみると、回線工事が必要なうえ、月額基本料もそこそこして、バカにならんのです。今の時代、固定電話なんてそんなに使うわけでもないのに、こんなに払わないといけないのか、と。

ネットでもう少し調べてみると、「加入権も回線工事も不要!」「月額900円から!」とか甘く誘惑してくるサイトがありまして。いや怪しいんじゃないか。「暇を持て余した美人妻のお相手をしていただけませんか?」メールのたぐいじゃないかと。初めは疑いました。ところが、富士通クラウドテクノロジーズが提供する法人向けIP電話サービスだといいます。サービス名称は「ShaMo!」です。ホントに大丈夫なんだよね。

ということで、わが三五館シンシャはこの「ShaMo!」というサービスに加入し、電話番号を手に入れたのです。「03」番号のうえ、電話機も不要で、かかってきた電話はスマホで受けられるのです。

これこそわが社の代表番号03-4400-2152です。名刺にもホームページにも新聞広告にも書籍奥付にも、その他あらゆる書類にこの番号を記載しましたよ。だって代表番号なんですから。

 

それからしばらくして本を6~7冊刊行し終えた2018年の秋、次のような知らせが来ます。

 

『2018年7月18日に総務省情報通信審議会電気通信事業政策部会にて報告された「固定電話番号を利用する転送電話サービスの在り方答申」を受けて、弊社で提供していますShaMo!では下記の対応をいたします。【中略】本答申に沿って、新たな制度整備が行われた場合、現在のサービス継続が困難になる事が考えられ、その際には2019年6月頃を目途に、本サービスを終了させていただく可能性がございます』

 

つまり、「総務省が回線引かない03番号はダメよと言ったので、このサービスを終了する可能性がある」というわけです。「この味がいいね」みたいに気楽に言ってんじゃねえよ。なんだよ、終了する可能性があるって。一方的な上に曖昧すぎだろ。こっちは名刺にも奥付にも全部この番号使ってっから。勘弁してくれ。

直接電話してみました。電話口の担当者は「まだ可能性があるということしか申しあげられず……」と煮え切らない返事です。

ああ、そうですか……。

 

そして、2019年1月、ついに特定記録郵便で一通の手紙が届いたのです。

 

『ShaMO!のサービス提供終了に関する重要なお知らせ【中略】現状では今後のサービス継続が困難と判断し、2019年6月30日にサービスを終了させていただくこととなりました。これまで長らくご愛顧賜り、誠にありがとうございました。』

 

おいおい、勝手に終了させていただいてんじゃねえぞ。長らく愛顧もしてねえから。たった1年だから。こっちは刊行物8点全部この番号使ってっから。全部たった1年の命だから。てめえの人生も終了させてやろうか。

やはり暇を持て余した美人妻なんていないのです。いや、実際いるかもしれませんが、私が相手をしてあげる必要はないのです。このぶんだと先日メールで案内のあった「ペニスを10倍にする秘薬」というのもきっと嘘なのでしょう。危ないところでした。

 

で、さらなる問題はここからです。この電話番号は番号ポータビリティに対応していないため、他社にて番号を継続使用することは不可能です。では、7月1日以降にこの番号にかかってきた場合、どうなると思いますか?

 

 

「お客様がおかけになった電話番号は現在使われておりません」

 

 

……。

三五館シンシャに問い合わせしてきた読者、どう思う?

 

 

 

「ああ、三五館、またやったのか……」(合掌)

 

 

 

いや、やってねえから。

いやいや、やってっから。

合掌すんじゃねえ。黙祷も捧げるな。

まだちゃんと生存してっから、三五館シンシャ。

 

 

三五館シンシャのお墓の前で泣かないでください。

そこに私はいません。

眠ってなんかいません。

新しい電話番号は03-6674-8710です。

(つづく)

コナン事変の追憶

倒産する出版社に就職する方法・第58回

 

いや、待てよ。この動画ってパソコンか何かに落としてんだっけ?

子どもが延々と柿食ってるだけの動画をどこかに保存した記憶などありません。きっとこのビデオで撮って、そのままにしてあるだけです。ビデオに収められたほかのすべての動画もおなじでしょう。

 

まずいな……。

究極の選択

倒産する出版社に就職する方法・第57回

 

2月下旬、私は、通勤時間帯を過ぎ、車内も空き始めた京王線に揺られていました。相模原で開催される藤原ひろのぶ氏の講演会に向かっていたのです。

『買いものは投票なんだ』の刊行後、藤原氏の講演活動はさらに広がりを見せ、全国いたるところで開催、今年に入ってからだけですでに40回を数えます。

藤原氏はバングラデシュでの「ギフトフード」(スラム街の子どもたちへの食糧支援活動)にも力をそそぎ、2月頭から現地を訪問し、2週間にわたって滞在しているため、それを除くと、日本にいるときはほぼ毎日のように講演を行なっていることになります。

 

すでに何度か聞いている講演会に、私が2時間かけて相模原までわざわざ駆けつけるのには理由があります。

2万部を突破した『買いものは投票なんだ』の続編の準備です。まずは続編をどういう趣旨の本にするのかを定めねばなりません。私はその素材集めの一環として、スライドや動画などもまじえ視覚にも訴える講演の模様を動画で収録しておくことにしたのです。