編集的問題解決の技法

倒産する出版社に就職する方法・第24回

 

8月16日の朝。

まだ盆休み明けの気だるさが支配する靖国通りを一台のバイクが疾走する。欠伸を噛み殺している街を尻目に、ヘルメットを小脇に駆け抜けた私は、いつもより早めに事務所に飛び込む。

はやる気持ちと噴き出す汗を抑えるべく、エアコンのスイッチを入れ、ひと息つく。

この日、私はあるものの到着を心待ちにしていた。

あの日見た、虎の檻で

倒産する出版社に就職する方法・連載第23回

 

2018年8月14日。

今、私の手元には、法生(ほう)こと長澤美穂氏が描いたB4画用紙6枚分の原画があります。

一枚、二枚、三枚……。たしかに6枚です。

9月刊行予定の『買いものは投票なんだ』はB5判・40ページの本。B4画用紙一枚が本の2ページに相当するので原画は20枚必要です。

電卓を叩いて、20-6=14。

あと原画が14枚必要になる計算ですね。

チャンス、到来

倒産する出版社に就職する方法・連載第22回

 

積年の事情を踏まえ、フォレスト出版から送られてきた9月新刊のISBN書籍記号を見て、私は震えたわけです。

500、600、700を無理矢理に獲得した三五館時代。

そして今、環境の激変によりISBN書籍記号を選ぶ余地もなくなった私に向こうからやってきた奇跡。

消息不明だったかつての友人が、唐突にふらりと新しい事務所を訪ねてくれたような。

「やあ、しばらくじゃないか。どうしてた……」

「おお、お前か! どうしたもこうしたもねえよ。三五館潰れちまった。で、今は見てのとおり独りきりだ。でも、まだあきらめたわけじゃねえぞ」

会えると思ってもいなかったし、じつはそんなこともうとっくに忘れてしまっていたのに。向こうから、突然に。

――これが吉兆でないはずがないのです。