キック王者のち医師

倒産する出版社に就職する方法・第52回

 

 

2004年11月5日、昼下がりの池袋・ホテルメトロポリタン。

1Fラウンジに陣取ったわれわれは雑踏の合間を縫い、入口に目を凝らしていた。

「来た。あいつだ……」

横に座ったH社長(H社長については連載第1718回あたりを参照)がそうつぶやき、私に目配せをする。

小柄だが、目つきのするどい男が周りを見渡しながら入ってきた。肌は浅黒く日に焼け、Tシャツの上からもその体が相当に絞り込まれていることが見て取れる。

「なるほど、あれがキックの元日本チャンピオンか……」

新聞広告と魔物

倒産する出版社に就職する方法・第51回

 

 

年明け早々、私はある悩みの渦中にいた。

やるか、やらないか――。

11月に出した『家賃は今すぐ下げられる!』、1月に新刊として出す『食べなきゃ、危険!新装版』、この2点について新聞広告を出稿するかどうかの決断を迫られていたのだ。

 

新聞紙面は「段」というブロックで区切られ、もともとは15段で構成されている(現在は活字が大きくなった影響で多くの新聞が12段になっている)。その15段中の3段分のスペースを縦に8つに割っていることから「サンヤツ(三八)」と呼ばれるのが一面の下欄に位置する広告スペースだ。二~四面には、15段中の5段分すべてを使う「全5段」、その半分の「半5段」という広告スペースも存在する。サンヤツに比べ、スペースが大きい分、こちらは広告料金が跳ね上がる。

あの話を聞くまでは

倒産する出版社に就職する方法・第50回

 

 

「価格はどのくらいですか?」

私は印刷所の担当者にストーンペーパーの値段を尋ねました。

 

書籍に使用する用紙は、もともと原紙と呼ばれる大きなサイズから切り出されます。たとえば四六判と呼ばれるサイズの原紙は788ミリ×1091ミリの大きさです。みなさんのイメージしやすいところだと、拘置所の隅っこにあるトイレの広さくらい。畳半畳ほど。そう、だいたいそんなサイズ感です。

で、この大きな紙から、みなさん(未決囚)がそのトイレに腰掛けながら手にする一般的な単行本(四六判・188ミリ×130ミリ)だと、32枚分が切り出されます。

私が問うたのは、この原紙1枚あたりの値段です。