第一回  なぜ今、龍馬の里の墓なのか?

2006年夏、土佐の維新の立役者たちの墓は、跡形もなく消えた――。
2006年夏、土佐の維新の立役者たちの墓は、跡形もなく消えた――。
 日本全国各地で繰り広げられる土地開発。坂本龍馬の故郷・土佐にもその大波が押し寄せてきた。 坂本家先祖代々をはじめ、新しい日本を生み出した先人たちが眠る墓所が次々と崩されていったのである。 しかも、単に崩されたのではない。登記のない無縁の墓石は、産業廃棄物扱いされるという有様だった。
 もう、その全容は地上から消え失せた。知りうる術は、11年間必死に撮り続けた著者の写真群のみである。
 土佐から日本の未来に想いを馳せる歴史写真家の前田秀徳は、全国の龍馬ファンの「想い」を 一身に背負いながらも、かろうじて、2007年度完成予定の歴史公園を確保するのに精一杯だった。
 それでも、この孤高の人物の意志による、長い孤独な闘いが歴史の遺産の消失をくいとめたといえる。
坂本龍馬
著者・前田秀徳の人物像――なぜこの著者はエラいのか?
撤去される墓石
 高知市在住の歴史写真家。龍馬および現代日本を創った群像を研究すること四十年余。 一連の墓所開発に対応するため独力で、生活のすべてを投げ捨て、この11年間、坂本家先祖代々の墓の改葬にすべて立ち会い、 墓所崩壊の全容を写真に収めてきた。本人曰く、「志士の魂を想うと、貧乏と辛抱という二つの棒を背負いながらも、我慢に徹することができた」。
 凄まじいまでの執念と苦闘の記録が本書でもあるが、常人にはやり遂げられなかったであろう過程で、龍馬研究および明治を創った人びとの精神の、 いくつもの新発見に結びついている。

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