倒産する出版社に就職する方法・第6回

昨年10月、「三五館シンシャ」を立ち上げると決めてから、お詫び、挨拶、取材等々、たくさんの人にお会いして話をさせていただく中で、何人かの方からおなじアドバイスを頂戴しました。

「小出版社は自ら発信していくことが重要である」

ふむふむ。

「新聞広告の効果も減じてきて、本をアピールする場がこれまでとは違ってきている。書籍のアピールにSNSは必須である」

なるほど。

これまで私はフェイスブックだのツイッターだのインスタグラムとは無縁でした。一生涯かかわることもなかろうと思っていました。そんなものと関係なく生きていくのだと高踏を気取っていました。

書籍の販促にSNSが重要だろうとは思いつつも、先頭集団はみんなとっくに競技場から出て行っちゃって、まだ競技場内を周回しているこっちとしては、今更SNSだなんて……という心理もありました。

えっ、かなり出遅れてる? もう先頭見えないだろって? いやいや、私、トラックにいますけどマラソンにエントリーしてませんから。ええ、選手じゃないんで。私、砲丸投げの計測員ですから。

 

『革命のファンファーレ』(西野亮廣著、幻冬舎)とか読むと、「ああ、先頭集団は平川門から内堀通り入ったかあ」と。こっちはまだ国立競技場のトラックにたたずんでいるわけですからね(距離感は2020年東京オリンピックマラソンコースを参照)。同じマラソンランナーだと思われるのも少々気恥ずかしい。

……だから、俺は砲丸投げの計測してんだっつってるの。あぶねえから話かけんなよ、砲丸くるだろ、砲丸が。

 

が、初版部数が4000だの5000だのという出版の世界においては、1冊、2冊という数字の積み上げこそ生き抜くための径路なのですよ。

「先ず隗より始めよ」ということで、10年使っていたガラケーをテムズ川に投げ捨て、このホームページを立ち上げ、一生やらないと決めていたフェイスブックページを開設し、できる限り世界に向けて発信していくことを決意したのが、2018年2月。

そう、世界に向けて発信!

先頭ランナーを追いかけようとも、もちろん追いつこうとも思っちゃいませんが、マラソンコースに乗っかって、国立競技場を飛び出してみようと決意したというわけです。

ああ、そうさ、俺は砲丸投げの計測員じゃない、実はマラソンランナーだったのさ! 俺はこれから走り出す。人生に遅すぎることなんてないのだから――。

 

 

あれから4カ月、わがホームページの発信力はいかほどのものか、本サイトの管理人に尋ねてみました。

 

「今、ホームページへのアクセスってどのくらいあるの?」

「ここ1カ月でページビューが4000弱」

「4000!? おお、なかなかすごくない?」

「これはあくまでページビューだからね。4000人見に来てくれてるわけじゃないよ。一人の人がページからページに移ると2カウント。またページ移ると3カウント。トップから入って連載5本読んだら6カウントってことになるの」

「……」

「あなたも私も毎日何回か見てるじゃない? それに1カ月だから4000を30日で割っていくと……」

「わ、わかった、わかった。もういい。……じゃあ、来てくれた人数ってわかるわけ?」

「わかるよ。ユーザー数っていうのが来てくれた人の数」

「ユ、ユ、ユーザー数は?」

「昨日はね……43人」

「……43人?」

「そう、43人」

 

ホームページのアクセス数が1日43人…。

どうなんすか、これ?

 

ほぼ一クラス。

おおよそ幕内力士。

約アリババが出会った盗賊たち。

 

「で、直帰率っていうのもわかるよ。これは1ページだけ見て、すぐに帰った人の数」

「ちょ、直帰率……で、その直帰率、なんパ―よ?」

「42.21%」

 

ほぼ直帰…。

 

なに、みんなプレデンシャル生命の外交員か何か?

 

見に来たのに……せっかく見に来たのに、なぜすぐ帰る……。

異臭でもした?

で、そんな数、わざわざ教えてくれる必要ある?

 

 

まあいい。

 

ともかく、アクセス数をあげ、訪問人数をあげ、直帰率を下げることがわがホームページにとっての至上命題なのです。

 

ここに宣言します。

 

来月末までに1日の訪問者が100人に達していない場合は、600回を予定していたこの連載、作者の都合(体力の限界、気力も衰え……)により打ち切り!

(つづく)


倒産する出版社に就職する方法・第1回

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