ストーンペーパーは語りかける

倒産する出版社に就職する方法・第48回

 

12月15-16日の両日にわたり、東京・国立にて行なわれた個展講演会「EARTHおじさんが困っていること」。

全8回講演という藤原ひろのぶ氏の奮闘、前日深夜0時時点での会場レイアウトを「やっぱ気にいらない」とご破算にしてからの徹夜再設営という長澤美穂氏の荒行、また支援者の方々の尽力により、2日で300名超を動員、大成功を収めました。

またこの間、『買いものは投票なんだ』は4刷2万部を突破し、朝日新聞などにも取り上げられるなど、さらなる広がりを見せています。

 

とはいえ、われわれは現状に安住しているわけにはいかないのです。

EARTHおじさんとともに新しい世界を作っていくという使命のもと、その先の展開を見据え、動き出さねばなりません。

そう、いま私が虎視眈々見据えているものこそ、EARTHおじさんの第二弾作品です。

しかし、注意しなければならないことがあります。映画でもなんでも、第二弾は第一弾よりもつまらなくなるのが関の山です。「ミッション:インポッシブル」「スピード」もそうだったではありませんか。その轍を踏んではいけない。一弾を超える二弾でなければなりません。

 

そして、もうひとつ問題があります。

企画とは、私がやりたいからといって、すぐ実現できるものではありません。

この世の中に、「やりたい」と言って、すぐやらせてくれる人などいません。

いや、「やりたい」と言って、たまにすぐやらせてくれちゃう人もいますが、そういう人とはやらないほうがいいのです。ろくなことになりません。私の人生経験がそう告げています。

 

もちろん私だって布石は打っています。

折りに触れ、二人の著者にタイトスカートでしなだれかかり、太もももあらわに、耳元で甘い言葉をささやいたりしているのです。

 

「第一弾が好調なうちに、次のも作りたいですよねぇ」

「そやなあ。でももし次の作品作るなら、絶対にやりたいことがあるんやけど」

「やりたいこと? なんですか?」

「次やるんなら、ストーンペーパー使いたいんやけど」

 

ストーンペーパー?

藤原ひろのぶ氏から語られたのは、聞いたことがあるような、ないような単語です。

これはいったいなんなのか、取り急ぎ調査してみましょう。

 

一般的な書籍用紙はおもに木材を原料としたパルプという植物繊維から作られるのに対し、ストーンペーパーは、石から抽出した鉱物の粉末を原料としています。

日本で生産されるパルプ原料の多くは海外からの輸入に頼っていて、インドネシアなどではパルプ生産のための森林伐採が問題になっています。

その点、ストーンペーパーなら鉱物が原料なので森林を伐採することもありません。しかも作るときに水を使用せず、排水を出さないので水質を汚染することもないといいます。

 

なるほど。

「地球規模の環境問題は、私たち一人ひとりの買いものとつながっている」と説く藤原氏のメッセージに合致する商品であることは間違いありません。

EARTHおじさんの第二弾作品にふさわしい用紙だともいえます。

 

あとは印刷の具合、在庫量、価格など諸条件がクリアできれば、ストーンペーパーの使用に向けて大きく前進できます。

数日後、印刷所の担当者に直接電話してさらに詳細を確認してみます。

 

「印刷の色の出具合はどうですか?」

「通常の製本は可能なのでしょうか?」

「在庫量は安定的に供給されているのですか?」

「価格はどのくらいですか?」

 

それまで私の質問によどみなく答えていた担当者が、最後の質問にだけ言いにくそうに口ごもりました。

嫌な予感がします。

(つづく)