旧三五館を覗いてみたら

倒産する出版社に就職する方法・第53回

 

1月31日、私はほぼ1年ぶりに四谷の地を踏みました。

四谷は、1992年に三五館が設立された地でもあり、それ以降数回の事務所移転を経ながらも2017年10月の倒産までずっと本拠とした場所でもあります。「三」と「五」が挟んでいるから本拠はずっと「四谷」なのだという説を聞いたことがありますが、真偽のほどは定かではありません。

もちろん、2000年に私が無理矢理に押しかけた場所もここなので(その経緯については第10回あたりを参照)、倒産までの都合17年半、毎日通い続けた土地です。

2017年10月5日に倒産し、その月末までは出社しながら関係者への説明や残務整理に当たったため、10月末までは日々、四谷に通勤していました。

しかし、当然家賃も払えないわけで10月末を区切りとして事務所も完全に引き払うことになります。それ以来、私が四谷を訪れる理由はなくなってしまいました。

キック王者のち医師

倒産する出版社に就職する方法・第52回

 

 

2004年11月5日、昼下がりの池袋・ホテルメトロポリタン。

1Fラウンジに陣取ったわれわれは雑踏の合間を縫い、入口に目を凝らしていた。

「来た。あいつだ……」

横に座ったH社長(H社長については連載第1718回あたりを参照)がそうつぶやき、私に目配せをする。

小柄だが、目つきのするどい男が周りを見渡しながら入ってきた。肌は浅黒く日に焼け、Tシャツの上からもその体が相当に絞り込まれていることが見て取れる。

「なるほど、あれがキックの元日本チャンピオンか……」

新聞広告と魔物

倒産する出版社に就職する方法・第51回

 

 

年明け早々、私はある悩みの渦中にいた。

やるか、やらないか――。

11月に出した『家賃は今すぐ下げられる!』、1月に新刊として出す『食べなきゃ、危険!新装版』、この2点について新聞広告を出稿するかどうかの決断を迫られていたのだ。

 

新聞紙面は「段」というブロックで区切られ、もともとは15段で構成されている(現在は活字が大きくなった影響で多くの新聞が12段になっている)。その15段中の3段分のスペースを縦に8つに割っていることから「サンヤツ(三八)」と呼ばれるのが一面の下欄に位置する広告スペースだ。二~四面には、15段中の5段分すべてを使う「全5段」、その半分の「半5段」という広告スペースも存在する。サンヤツに比べ、スペースが大きい分、こちらは広告料金が跳ね上がる。